マークアップエンジニアとは?仕事内容や年収、コーダー・フロントエンドエンジニアとの違い
マークアップエンジニアは、HTMLとCSSをある程度マスターしたレベルの方におすすめの職種です。未経験、あるいは経験の浅いエンジニアでも比較的挑戦しやすく、実績を積めばキャリアアップも目指せます。
ここでは、マークアップエンジニアの職務内容や年収相場、業務にあたり求められるスキルなどを解説していきます。
Contents
マークアップエンジニアとは
マークアップエンジニアとは、HTML、CSSなどマークアップ言語やJavaScriptを用いて、Webデザイナーの設計をベースにWebページを実際に構築していくエンジニアです。単純にコーディングするだけでなく、設計されたデザインに対してUIやSEOなども考慮しつつ、Webサイト制作を包括的に担当します。
そのため、マークアップ言語の仕様や、検索エンジンに適したマークアップ手法など、フロントエンドに必要な技術や知識の正しい理解が不可欠となります。
そもそもマークアップとは
マークアップとは、Webページのコンテンツを記述するマークアップ言語におけるタグや要素を用いて、文書の構造や意味を示すことです。
具体的には、テキストや画像、リンク、テーブルなどの要素を定義するHTMLや、外観や装飾を担うCSSを使用し、デザインがWebブラウザ上で正しく表示されるようにコーディングする作業です。
マークアップエンジニアの業務内容
マークアップエンジニアの基本的な業務内容は、Webデザイナーが設計したデザインを、マークアップ言語とプログラミング言語を用いてWebサイトに実装することです。
さらに、クライアントが提示するWebサイトの目的を達成するために、ユーザビリティの向上や、Webブラウザ上での最適表示の形成が求められます。
ユーザーの操作性を高めるための工夫はもちろんのこと、CMSの知識やSEOに最適化したマークアップ、クリック率やコンバージョン率を上げるための施策など、Webサイトの目的を汲み取った設計をしなければいけません。
マークアップエンジニアの年収
マークアップエンジニアの年収相場はおおよそ400万円程度といわれています。
ただし当然ながら、エンジニアが有するスキルのレベルによって年収は上下します。マークアップ言語だけでなく、JavaScriptやデザイン、SEOの知識などを身につけて、設計や構築の提案までを網羅的にカバーできるエンジニアになれば、年収500万円以上も十分に可能でしょう。
こちらはあくまでも参考値となりますが、スキル別で見た年収の相場を紹介します。
年収 | 主なスキル |
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300〜400万円 | 指示書どおりにコーディングできる |
400〜500万円 | Webサイトをひとりで制作できる。デザインの基礎知識がある |
500〜600万円 | SEOを考慮したサイト設計と、文章構造を構築できる |
600〜800万円 | 開発プロジェクトのディレクションが可能で、複数のタスクも処理できる |
800〜1200万円 | クライアントと直接、企画立案や開発プロデュースができる |
マークアップエンジニアは未経験でもなれるのか
未経験からの求人採用を行うマークアップエンジニアの求人もあるため、職に就くこと自体は可能です。
しかし、マークアップ言語やJavaScriptに関する一定の知識や技術は欠かせません。まったくの未経験の場合は、HTMLとCSSのマークアップ言語から学習を始めていきましょう。
マークアップ言語をある程度使えるようになったら、JavaScriptを学習しつつ、派遣エンジニアなどへ応募し実際の業務を開始します。実績と経験を現場で積みながらスキルを磨いていきましょう。
マークアップエンジニアとコーダー・フロントエンドエンジニアとの違い
コーダーやフロントエンドエンジニアも同様にマークアップ言語を使用するため、マークアップエンジニアと混同されやすい職種ですが、それぞれの役割は異なります。キャリア形成を間違えないためにも、各エンジニアとの違いを理解しておきましょう。
コーダー | Webデザイナーが設計した指示書に則ったコーディングを担当。マークアップエンジニアはコーダーの上位職にあたる |
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フロントエンドエンジニア | JavaScriptやjQueryを用いてUIデザインやフロントエンド部分の実装を担当。マークアップエンジニアの上位職にあたる |
マークアップエンジニア | Webデザイナーが設計した指示書を参照し、マークアップ言語とプログラミング言語を用いてWebサイトへの実装を担当 |
特に、Webデザイナーとの関わり方には大きな違いが見られます。
コーダーとは
コーダーの業務内容は、Webデザイナーが設計した指示書にしたがってコーディングを行うことです。
ただしコーダーの場合、一般的にはサイト構築の大半にマークアップ言語を用います。JavaScriptはあまり使用しません。また、Webサイトを構築する工程では、アレンジや自分からの提案をする機会はなく、マークアップ言語をデザインどおりに正確に記述していく作業が求められます。
マークアップエンジニアとコーダーの大きな違いは、Webデザイナーとの関わり方にもあります。特にCMSの設計に応じてはSEOの知識が必要になることも多いため、マークアップエンジニアには単純なコーディングだけではなく、より高度なスキルを要求されます。
こうした違いから、マークアップエンジニアはコーダーの上位職として認知されていることが多いです。
フロントエンドエンジニアとは
フロントエンドエンジニアの業務内容は、JavaScriptやJavaScriptのライブラリであるjQueryを用いて、UIデザインやユーザーの目に直接触れるフロントエンド部分を実装することです。
ライブラリとは、プログラミング言語で使用されるソースコードの集合体のことをいいます。より簡易的にコード記述ができるようになるため、重宝されているシステムです。また、Node.jsと呼ばれるJavaScriptのライブラリを使用して、サーバーサイドを取り扱うこともあります。
フロントエンドエンジニアもマークアップ言語やJavaScriptを使用しますが、マークアップエンジニアよりも総じて高いスキルと知識が求められます。そのためマークアップエンジニアの上位職のポジションとして認識されています。
Webデザイナーとのかかわり
マークアップエンジニアともかかわりの深いWebデザイナーとの業務内容における違いは、「デザインを起こすか否か」にあります。
- Webデザイナー:実際にデザインを起こす
- マークアップエンジニア:Webデザイナーが設計したデザインの検証や実装を担う
このように、マークアップエンジニアはあくまでも「エンジニア」の立ち位置でWebデザイナーとかかわります。
マークアップエンジニアに必要なスキル
Webデザイナーが設計したデザインを実装するために、マークアップエンジニアには主に以下のスキルが求められます。
- HTML・CSSの知識
- JavaScriptの知識
- CMSの知識
なお、マークアップエンジニアは、Webデザイナーとのコミュニケーションが必ず発生するポジションです。業務を円滑に進めていくためのコミュニケーション能力や、デザインの知識も必要です。
HTML・CSSの知識
- HTML:Webブラウザで表示されるWebページの基本となる『構造』をプログラムする言語
- CSS:HTMLで構造化されたWebページの『デザイン』を指定する言語
マークアップエンジニアは、まずHTMLでWebページ全体を設計。さらにWebページの可読性や利便性を高めるために、CSSでデザインを構築していくのが基本の仕事です。
したがって、マークアップエンジニアになるためには、HTMLとCSSは最低限身につけなければならないスキルとなります。
JavaScriptの知識
JavaScriptは、Webページに『動き』を取り入れる場合や、UIのデザインに使用されるプログラミング言語です。CSSのようにWebページのデザインをするだけでなく、ユーザーがWebブラウザ上で入力した情報をサーバーやデータベースに渡して、その処理結果をフロントページに反映するといった機能もあります。
JavaScriptは現在のWebページのほとんどで使われています。Webデザイナーによる設計をより高品質なものとして実装するには、JavaScriptは欠かせないでしょう。
JavaScriptを扱えるかどうかで、マークアップエンジニアの人材価値は大きく変わります。最低限、基礎的な部分だけでも理解しておく必要があるでしょう。JavaScriptのライブラリであるjQueryも理解していると、人材価値はさらに高まります。
CMSの知識
CMS(コンテンツマネジメントシステム)とは、Webサイトを構築するテキストやデザイン、レイアウトを一元的に管理できるシステムです。世界でもっとも使用されているCMSとしてWordPressが有名です。
Web制作の現場では、このCMSが頻繁に使われます。CMSを使ったWebサイトの構築や、管理運用に関しての知識は欠かせません。
また、CMSの設計では、SEOを考慮した構築が求められるケースも少なくありません。内部SEOの知識もマークアップエンジニアの重要なスキルのひとつといえるでしょう。
マークアップエンジニアにおすすめの資格
マークアップエンジニアになるために、必須となる資格はありません。
しかし、資格の取得により求人採用が有利に進むケースも少なくありません。これからマークアップエンジニアを志望する方におすすめの資格を紹介します。
- Webデザイナー検定
- HTML5プロフェッショナル認定試験
Webデザイナー試験
WebデザインのルールやHTML/CSSの基本設計など、Webデザインに関する基礎的な知識の習得を計る試験です。Webデザインへの理解が深まるとともに、Webデザイナーとの連携にも役立つため、取得して損はないでしょう。
問題形式 | CBT方式(Computer Based Testing:コンピュータ画面に表示される問題に解答する試験方式) |
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受験料 | 10,000円+税 |
合格ライン | 正解率70%以上 |
合格率・難易度 | 累計59.8%(2019年3月31日時点) |
HTML5プロフェッショナル認定試験
マークアップ言語とJavaScriptなどの知識やスキルを認定する試験です。試験はWebの基礎的な知識を問うレベル1と、JavaScriptを使用した動的なWebサイトの設計などを問う実務経験者向けのレベル2に分かれています。
マークアップエンジニアを目指すのであれば、まずはレベル1を取得し、JavaScriptの学習の一環としてレベル2の取得を目指すのがおすすめです。
問題形式 | CBT方式 |
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受験料 | 16,500円(税込) |
合格ライン | 非公表(約70%の正解率で合格できるような設定) |
合格率・難易度 | 非公表 |
マークアップエンジニアのキャリアパス
マークアップエンジニアとしてスキルや経験を積み重ねていくと、次のようなキャリアパスが視野に入ってきます。
- フロントエンドエンジニアへの転身
- Webデザイナーへの転身
フロントエンドエンジニアに転身するために必要なスキルは、マークアップエンジニアの実務を積みながら獲得できるものが多いため、もっとも一般的なキャリアパスといえます。
また、Webデザイナーはエンジニアではないですが、HTMLやCSSを使用する点や、ブラウジングのデザインを整える仕事内容には共通点も多く、マークアップエンジニアでの経験も活かせる職種です。基礎的なデザインスキルからUI/UXデザインスキル、Photoshopやillustratorなどのスキルを磨くことで、Webデザイナーとしてのキャリアを目指せます。
- マークアップエンジニアは、HTML、CSS、JavaScriptなどを用いてWebサイト/ページを構築していくエンジニア
- コーディングのほか、UIやSEOを意識した構築が求められる
- Webデザイナーとのコミュニケーションが発生するため、コミュニケーション能力やデザインの知識も必要
- 未経験者の場合は、まずHTMLとCSSのマークアップ言語から学習を始めるべき
- マークアップエンジニアはコーダーの上位職
- フロントエンドエンジニアはマークアップエンジニアの上位職
- 年収相場はおおよそ400万円程度。スキルのレベルによって上下する
- キャリアパスとして、フロントエンドエンジニアやWebデザイナーへの転身が視野に入ってくる